読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

柿次郎ブログ

どこでも地元メディア「ジモコロ」の編集長として47都道府県を取材してます

本002 - 「起業家 / 藤田晋」

エエ本

起業家

起業家

アメーバブログアメーバピグでお馴染みの株式会社サイバーエージェント。2000年に史上最年少(当時)26歳の若さで東証マザーズ上場を果たし、常に注目を浴び続けているのが藤田社長です。今でこそ華やかな女性社員(通称:キラキラ女子)が目立っていたり、テレビCMで自社サービスをガンガン露出をさせたりなど、イケイケっぷりが尋常ではない企業のひとつ。僕は渋谷道玄坂を歩くたびにキラキラ女子はいないかな?とキョロキョロしています。

しかし、この本で描かれているのはインターネットバブルに翻弄され続けた藤田社長の苦悩そのもの。また、「自社メディアを持つ」という自身の夢を叶えるための壮大なドラマが、当時の生々しい葛藤と情熱とともに綴られています。ここ10年のWebの歴史を追体験できるような内容というか。構成も練られていて(幻冬舎の気合いが垣間見える)、まるで重厚なノンフィクションを読んでいるような感覚に陥るほど“熱量”がすごい! 


藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー

藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー


いやー実はね、新幹線のなかで「藤田晋の仕事学 自己成長を促す77の新セオリー」を先に読み終えて、これがまた良い本だったんですよ。30歳にして遅れた成長期に入っている僕にとっては、参考にすべき言葉ばかり。その勢いで「起業家」に手を出したもんだから、裏打ちされた仕事観とストーリーが気持ち良いくらいに一致しました。

また、昔から疑問に感じていた「なぜ、藤田社長は日本語ラップが大好きなのか?」(自腹で番組作ったり、メディア運営していたり)ということ。この疑問も本書を読みきったらすごい腑に落ちたんですよね。僕自身が日本語ラップ大好きで20歳前半のときに「COMPASS」というメディアを作った経験もあり…そして現在はWeb業界に身を置いているからこそ、ふたつの視点で藤田社長の顔を覗き見ることができたのかなと。なかでも印象的な言葉を引用します。


「ラッパーILL-BOSTINOが何度も繰り返し言っていた言葉が、私の胸に突き刺さりました」

「孤独、憂鬱、怒り、それを3つ足してもはるかに上回る希望」

「その言葉に、自分の起業家としての10年間が救われたような気がします」

「アンダーグラウンドで活動するHIPHOPのアーティストのライブに行くと、私はいつも反骨心や向上心を取り戻せます」


自身を凡庸な経営者として認識し、(以下、敬称略)一世代上のソフトバンクの孫正義や楽天の三木谷浩史、GMO熊谷正寿といったネット業界を代表する人物のスゴさを目の当たりにしたという体験。さらにライバルであり、友人でもある堀江貴文ライブドアショックという激流に呑まれる姿を間近で見ていたとか。

激動の過程では上場企業の社長として投資家の厳しい意見をぶつけられ、何とか自社サービスを改善しようともがき続けて…。その果てに生まれたアメーバブログアメーバピグの存在の大きさ。その恩恵は「収穫逓増型ビジネスモデル」(一度損益分岐点を超えてしまえば伸びた売上のほとんどが利益になる仕組み)として、サイバーエージェントの柱になっているそうです。

類い稀な努力と苦労の礎に現在のサイバーエージェントがある。さらにそれらを乗り越えた原動力の根っこには、“HIPHOPの持つ反骨心”が存分に生かされているんだな、と。藤田社長の断片的な情報と同じ感覚で触れ続けてきた日本語ラップの文化が、まさかこんな形で消化できると思っていなかったのでかなり心を揺さぶられました。目のギラつきも納得できる。

こんなことなら、日本語ラップのLIVEイベントでZEEBRAとG.K.MARYANに挟まれて会場入りした藤田社長に握手してもらったら良かったなぁ。最後に、この素晴らしい本の仕掛人である幻冬舎・見城社長の言葉を引用して締めようと思います。経営者の成功と苦悩は、この言葉に込められているのかもしれません。


「全ての創造はたった一人の『熱狂』から始まる」
「新しいことを生み出すのは、一人の孤独な『熱狂』である」