最近、井上雄彦の『バガボンド』を10年以上ぶりに1巻から読み直しています。いやー、面白い。10〜20代で読んでいたときはピンとこなかった台詞の1つひとつが、優れた化粧品のようにスッと染み込んでくる。哲学のSK-2。名シーンは数あれど、今さら紹介したところで陳腐なまとめにしかならないので割愛しますが、21巻で「死にたい…」と呟いた“おつう”に対して言った沢庵坊主の台詞が印象に残ったので引用します。当たり前だからこそ残る。
つながりを作っていくのが人生だろう
と、坊主らしいことを言ってみる
●一度筋トレにハマるとなかなか止められない
いやね。ここ1〜2年くらい、めまぐるしい頻度で人と会って話しているんです。広さも、深さも、両方を求めるかのように予定を詰めて詰めて…。その経験を経てつくづく思うのが、人付き合いというのは筋トレみたいなもんだなと。
気が向いたときに大人数の飲み会やイベントに出たところで、筋肉の負荷は少ない。一度鍛えようと思った部位を徹底的に追い込むぐらいの気持ちで人付き合いを重ねていかないと、人付き合い筋力はムッキムキにならないんじゃないでしょうか。
例えば、巷のビジネス本でよく見るのが「セミナーやパーティで名刺交換したところで何の意味もない」という意見。本質的にはそうなのかもしれないけれど、人付き合いの場=スポーツジムと置き換えるとしましょう。たった一回、スポーツジムに通って3kgのウェイトを数回上げたところで効果は薄くて当然というか。トレーニング方法が合ってないのでは?
●自分に合った人付き合いをつくる
自分に合った重さやトレーニング方法を知ることが大事で。信頼できる友人に最適解の場所に誘ってもらうか、いっそ自分で主催するのか…方法論はいくつかあると思います。同時に良いこともあれば、悪いこともある。「あ、俺、東京で消耗してるわ…」と思うこともある。そうした積み重ねの上で「おっ、筋肉ついてきたかも」と実感できるもんだと、たぶん沢庵坊主も言ってました。良い人付き合い=プロテイン補給みたいなもんですよ。
そもそも、名刺交換なんてきっかけに過ぎず、自分の利用価値と相手の利用価値を本能的に判断して、上辺だけの関係性から脱却することが重要だなぁと。綺麗事を抜きにすると、初対面同士の大人が会話した瞬間って、口にはせずとも「相手の価値(人間性や見た目、会社、実績など)」を品定めしていると思うんですよね。直感で「この人面白そう」「仲良くなりたい」とか判断して当然。
直感の上に求められるのが人付き合い筋力で、相手に「この人は面白そうだ」と思わせないといけない。このあたりから大変。ハードな筋トレになってくると方法論が変わってきて、肩書きと実績が噛み合っている風格が求められるというか。人付き合いのボディビルダーたちがワサワサいる世界に飛び込む度に渇望するんです。何度も封じ込めたあの気持ち。
吉田茂の孫だったら良かったなぁ…って。
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