お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ (PHP文庫)
- 作者: 糸井重里,邱永漢
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/04/09
- メディア: 文庫
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糸井重里の対談本はどれも面白い。『お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ』は、これから生きていく上で何度も読み返したくなるような“お金の本質”に迫った一冊。
共通していえるのは、聞き手・糸井重里のフィルターを通した言葉の引き出し方に無駄がなく、一番聞きたかったけれども、その“何か”が見えていないときにこそスッと腑に落ちる質問を投げかけてくれる。まぁ、こんなことは糸井重里ファンであれば当たり前の感覚で。だからこそ好きなんだなという大きな理由のひとつなんだと思う。
そんな対談本の最新作『知ろうとすること。』は、福島第一原発の事故後、あらゆる情報が錯綜する中で客観的なデータで事実を分析し、正しい情報を発信し続けた物理学者・早野龍五先生に、前述の柔らかい切り口で質問し、「結局、原発事故の影響はどうなのか?」を探る内容になっている。
事故から3年経った現在、どこか話題にしづらい雰囲気と正しい情報を見極める術を見つけられずにモヤモヤと過ごしている自分にとっては、すごく貴重な本だったというのが正直な感想だ。考え方の指針にもなるし、物事に向き合うための安心材料にもなる。まさに「知ろうとすること」の好奇心(=野次馬根性)を満たしてくれる。同時に、“科学を知ること”のおもしろさに気づかされるような構成になっていて、糸井重里のバランス感覚が顕著に反映されているのも興味深い。
「知ろうとすること。」は、今年一番の良書でした。一度読んでおしまい、じゃなくて、さっと手にとって適当にページをめくるだけで新しい発見がある。放射線について、まだまだ自分は知ろうとしている最中です。内容について感想は語れません。ただ、この分野の本を「面白い」と感じたのは初めてです。
— teddykoguma (@teddykoguma) 2014, 12月 31
『知ろうとすること』を読んで追記。
被災した方が一番に現状を正確に知る事、少しでも不安を取り除くことが出来るように、寄り添った支援が必要だと思う。この本を読んで知ろうとすることに積極的になった人は沢山いるはず。
多くの人に読んで欲しい pic.twitter.com/clKSeuYhrN
— kai_chan (@kai_kachaashii) 2014, 12月 26
いろんな意見や考え方が散見されて、とかくデリケートな問題だけに具体的な内容について触れるのは難しい。ただ、「ちょっと気になるな」と好奇心が1ミリでも動いたのであれば読んだ方が良い。1時間半程度で読み終えられるボリュームだし、文庫書き下ろしで464円という価格設定に限りなくハードルを下げる意図が込められていると思う。だからこそTwitterで糸井重里が本書の感想をマメにリツイートしてるんじゃないかな、と。「知ろうとすること」(=動機)→「本を読んだり、話を聞いたりすること」(=学習)→「行動に移すこと」(=体験)は、人生を豊かにする上で欠かせない姿勢なので、面倒くさがらずに向き合いたいもんですね。
詳しい紹介はこちら
http://www.1101.com/shiroutosurukoto/
「本屋で積んである雑誌を買うとき、
つい、いちばん上にある本じゃなくて、
何冊か下にある本を買ってしまうんです。
いちばん上の本が汚れてなくても、
下のほうから取ってしまう。
これって、科学的じゃないですよね?
でも、ぼくだけじゃなく、多くの人は、
科学的じゃない判断をしてしまう。
そういったことを、前提として理解しつつ、
それでも、ぼくがこころから思うのは、
ほんとうに大切な判断を
しなければいけないときは、
必ず科学的に正しい側に立ちたい
ということです」