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柿次郎ブログ

どこでも地元メディア「ジモコロ」の編集長として47都道府県を取材してます

謎の外国人にいきなり「死の宣告」をされた話

雑記

先日、山梨県にあるゲストハウス関連のイベントに登壇してきた。そもそものきっかけは、強いハグをして10分間だけ言葉を交わした山口県のゲストハウスオーナーに「ウンコと胃弱の話をして欲しい」と誘われたことだ。

「よくわからないけど行きます」

山口県の人から、山梨県のイベントの、さらにそこでウンコと胃弱の話をして欲しいと誘われる。こんな意味不明なパズルのピースを渡されたら、好奇心を武器にしている職業柄断るわけがない。

むしろ面白くなる予感しかしなかったし、案の定イベント自体盛り上がった。初対面の数十人に向けてウンコの話をする瞬間、ざわめきと戸惑いに満ちた空気になったが、熱量を込めて話す内に客同士でお互いのウンコエピソードを披露するまでになった。すごいぞ、ウンコ。お前、心の垣根を大きく飛び越えるパワーを持っていたのか…。

そして懇親会。いろんな人と会話を交わして盛り上がっていた。その流れで「柿次郎さんって良い意味で死んだ目をしてますよね。有吉みたいな」と初めて会った人に言われて驚いた。良い意味で…? 往々にして良い意味ではないんだけど、ウンコの話を嬉しそうにしながら目が死んでるって良いのかもしれない。ウンコと死。体内から排出された瞬間にウンコが死んでると言えば死んでるし、その話を東京からはるばるやってきて説法してる時点で死んでるも同然なんだろう。

東京から一緒に遊びに行っていた友人にそのことを伝えたら「実は私も思っていた。出会った当初の柿次郎は目が笑っていなくて、何を考えているのか分からなかった」「そうそう。私も柿さんの目って死んでるなってFacebookに投稿したことがある」などと、すでに周知の事実みたいなトーンで告白されて「え!? こんなによく笑ってるのに? 座右の銘はSmiles for Allなのに?」と反論を唱えても無駄だった。

俺の目はいつの間にか死んでいた…。

なんとなく心に引っかかったまま東京に戻った翌日の出来事。秋葉原で中国人の若い女の子をスタッフに起用した電子パーツ屋を取材し、ライターと一緒にモスバーガーで打ち合わせをしていたときに不思議な状況に陥った。

くだらない話で盛り上がり、「ははははっ!」といつも通りゲラゲラと笑っていたら、隣に座っていた欧米系の白人男性(50代?)が大きな声で話しかけてきた。

 

「タテマエ、アイソワライ、ノーグッド」

「ニホンジン、ココロデハナク、ノドデワラッテイル」

「アナタ、ヨクナイ」

 

ええー!? お、俺なのー!?

見知らぬ外国人にいきなり愛想笑いだと指摘されて、しかもものすごく神妙な面持ちで言われたものだから正直動揺した。軽くいなしながら会話を続けようとするんだけど、笑い声が起きる度に隣の外国人はしつこく介入してくる。

 

「タテマエ、アイソワライ、ノーグッド」

「ニホンジン、ココロデハナク、ノドデワラッテイル」

「ワタシノユウジン、ノドデワラッテイタ、5人シンダ…」

「ネンレイ、セイベツ、カンケイナイ、アイソワライ、ノーグッド、ダイ…」

 

え…。なんなの…。コワいコワい…。

片言の日本語とバカでも分かる英単語の断片が、不吉な角度で思考に飛び込んでくる。最初はホームレスのヤバい奴なのかと警戒したんだけど、よくよく身なりを見てみたら高そうなコートとオシャレな皮のブーツを履いているし、そもそもホームレスがモスバーガーに入ってくるわけがない。セットで頼んでも800円近くするし。このままスルーするのも悔しいので、「何者なんですか?仕事は何をしてるんですか?」と聞いてみた。

 

「ワタシ、サイコロジスト」

 

心理学者…!!

 

一気に説得力が押し寄せてくる。同時に山梨での体験が脳裏をよぎる。笑っていても目が死んでいる…。愛想笑いが表面に出ている…。思い返せば後天的によく笑うようになった気がするし、学生時代に不良グループとうまく付き合うためにヘラヘラ笑っていたら、「お前本気で笑ってねーだろ?」と指摘された過去の記憶も蘇った。

たった3日の間にこれまでのツケを支払われるような感覚で指摘されると流石に偶然とは思えないし、「このまま愛想笑いを続けるとお前は死ぬ」って謎の外国人に言われる体験も映画みたいだし、そもそもこの外国人は自分にしか見えてないんじゃないのか…? 幻なのか…?

 

心をグチャッと鷲掴みにされたような不快感を覚えつつ、改めて隣の外国人を見たら「ペチャペチャペチャ」と食べ終わったモスバーガーの袋についたケチャップを舐め続けていた。そして満足した表情を浮かべて、「グッバイ」と言って颯爽と姿を消した。