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ナタリーってこうなってたのか。知らなかった。

勝手ながら“ナタリー子会社化”のニュースに感動しています

ナタリーってこうなってたのか (YOUR BOOKS 02)

ナタリーってこうなってたのか (YOUR BOOKS 02)

KDDI子会社になったことで話題ポップカルチャーニュースサイト『ナタリー』。ひとつのWEBメディアが通信系大企業の子会社に入るだなんて、すごい話じゃないですか。それこそ『ミュージックマシーン』を読んでいたイチユーザーでもあるし、同世代ともいえるお笑いポータルサイトオモコロ』(今年で9年目?)に長年関わってきたこともあるし、なんだろうこの他人事じゃない感じ。

紐解けば23歳の頃(約8年前?)、運営会社ナターシャに採用希望のアポを入れたことがあって。人伝いに紹介してもらったものの面接にも至らなかったという…些細なエピソードでしかないんだけど、勝手ながらグッと込み上げるものがあります



その感情は、大山卓也さんのツイートを読んで腑に落ちた。勝手に接点を感じていたインディーズバンドがメジャー契約して、活躍するのを目の当たりにしたときと同じ感覚だ! 身勝手なファン目線! お前のことなんか誰も知らねーよ、という状態にも関わらず「懐かしみ」「振り返り」「悦に浸っている」ーーいやぁ、恥ずかしながらそれだけです。



第三者目線によって明らかにされるプロレス的エピソード

その上で大山卓也さんの初単著『ナタリーってこうなってたのか』を読んだら、カラッカラの乾いた身体に言葉がどんどん染み込んでくるような…珍しく本の世界にのめり込むことができた。独自のメディア哲学は、コンテンツに携わっている人間として肝に銘じるべきものが多い。特に著書内で繰り返し使われている『批評をしない』『全部やる』を最大化し、継続し続けた果てに『ナタリー』が存在しているのは容易に真似できることじゃないと思う。

それは特別対談「大山卓也ってこうなってたのか - 津田大介 × 唐木元」の第三者目線の語らいによって、より説得力が増してくる。今までの大山卓也さんのイメージは、“縁側でひなたぼっこをしながら、Beatsでロックンロールを聴いていそう”だった。しかし、創業メンバーの2人によって明らかにされた実像はかなりかけ離れていて面食らいました。

津田:大山卓也って確実に天才なわけですよ。ただ、なんの天才なのか説明するのが難しいんだよね。コンテンツを作るという意味では間違いなく天才。俺がなぜ彼と一緒に起業したのかといえば、まずそれに尽きる。


中略


これが真の理由かもしれないけど——やっぱりタクヤはとにかく強運なんだよね。俺とタクヤはよく麻雀をやっていたんだけど、麻雀で彼に勝てたためしがほとんどない。信じられないくらい強い。それって、やっぱり天から与えられた運なんじゃないかと。「これだけ天性のツキを持ってる人間と組むなら、絶対に勝てるだろ」って思っていた。

唐木:タクヤの家に初めて行ったときの驚きは今でも忘れられないな。完全ながらんどうなの。まさに「空洞です」。なんにもないの。なんていうか、内見に来たのかと錯覚するくらい、なんにもない。昔はCDと本に囲まれてたらしいんだけど、あるとき、まだ断捨離なんて言葉もない頃に「これ全部いらないんじゃないか」っていう感覚にとらわれて、全部処分したらしいんだよね。結果、部屋の片隅にベッドがあるだけの、本当に閉鎖病棟の病室みたいなとこに住んでる。あんな部屋、見たことないよ。あまりに見かねてソファを1個あげたくらい。でもあの部屋で暮らしていて、それが心地いいっていう人間性はかなり特殊だと思うし、彼の天才性の一旦を垣間みた気がした。

こんな昭和の偉人的なエピソードが出てくるんだもの。それこそプロレス関連のインタビュー集でも読んでいるような感覚。どこにも吉田豪の名前は書かれていないし、それまで持ち合わせていた大山卓也さんのイメージもどこかへ吹き飛んでしまった。

ここだけ引用したら、「精神と時の部屋で麻雀ばっかりやっていて強くなった人」みたいになっちゃうけど、これだけ大きなメディアを育ててきた人のバックボーンには、こういった色気がないとおもしろくないよなーと。ゾクゾクするエピソード最高!




個人的には“00年代で最もおもしろいWEBメディア界隈の立志伝”だったので、映画『ソーシャルネットワーク』ばりにデヴィット・フィンチャーによる映像化を望みます。ショーン・パーカーの「ザを取れ!」じゃないけど、「ほっちゃんホアーを採用しろ!」「ぬるいものはダサい!」みたいな名言が映像でパシーンと刺さるかもしれない。

いやぁ、しかし、ナタリーってこうなってたのか。知らなかった。




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8月27日(水)代官山蔦屋書店でトークイベント開催。行きてぇ!!

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津田さんの音楽配信メモが約3年ぶりに更新