こんにちは、株式会社Huuuuの徳谷柿次郎です。
2018年4月。小売業の利益を第一にせず、新たな価値観で店舗運営する『お店2.0』プロジェクトを始めることにしました。
***
きっかけは長野と東京の二拠点生活を始めたこと。2017年5月に家を借りて、気づけば半年以上経過。東京の仕事を長野に持ち帰って過ごす日々が続いていて、自問する瞬間が増えた。あれ、俺はなんのために長野に戻るんだろう。そして長野に住む理由はこれでいいのだろうか。二拠点生活ってこんな感じだっけ? 意味なくね?
このままでいいわけがない。
長野に住む意味を作ろう。そうだ、お店をやろう!
急に思いついた。風呂に入りながらなのか、ウンコしてるときなのか。その瞬間はいっさいがっさい覚えていないものの、とにかくお店を作ることにした。
さっそく長野市の友だちに「お店やりたい!」と伝えたり、2018年の目標にしてみたり、いつもの旗振りを開始。とりあえず旗を振ればおもしろいことが起こる。これは人生で学んだ行動哲学でもある。
数週間後、長野市に家を借りる決め手となった住開きスペースの住人「シンカイ」(ほぼ家)の小林隆史くんがぽろっと口にした。
「柿さん、うちでお店やりませんか?」
ほら、きた。旗を振ればおもしろい話が生まれる。
説明しづらいんだけど、「シンカイ」は隆史くんが住んでる家だ。ただひとつ違うのは一階のスペースは公園的な位置づけなこと。仲間を集めて飲み会をやったり、地元の学生に無料で場所を開放したり、土日にマーケットを開催したり、アーティストを呼んでライブをやったりなどなど、一言では説明できないような特殊な場所といえる。
- 長野市のプレイヤーが交流する貴重な場所
- 5年かけて信頼を貯めてきた空間でもある
- 善光寺すぐ近くで人通りも多いし、立地もいい
- DIYで改装した空間はとにかくかっこいい
- とにかく集まってる人がおもしろい
- 家賃もめっちゃ安い
魅力を挙げればキリがないほどに素敵な場所だ。しかも、隆史くんが全面協力してくれる。彼を慕う人たちも全力で応援してくれる。予想をはるかに超えた関係性のなかで、思いつきの「お店をやりたい」が叶うことになるだなんて。最高じゃないか。やるしかないじゃないか。いや、やろう!やってこ!!
試験的なマーケットが大盛況で手応えを感じる
そんな話をした二ヶ月後、お店計画のプレ的に「やってこ!マーケット」と題した1日限定のマーケットを開催しました。
隆史くんが声をかけた長野で活躍する人たち、そして僕が声をかけた東京の人たちがわんさか集まって思い思いに好きなモノを販売。宣伝はSNSの発信と口コミだけだったにも関わらず、ものすごい人が押し寄せました。
普段出会わないような地元の人たちも「なんだろ?なんだろ?」と中を覗きこむ。同じ長野市で飲食店や本屋、ゲストハウスなどを営むオーナーたちも顔を出してくれた。出店者それぞれの関係値に対して足を運んでくれていたような気がする。
なによりも発見だったのが、長野と東京の出店者たちがとにかく楽しそうに過ごしていたこと。夜の打ち上げも祭りみたいな大盛り上がりを見せて、ずっとこの場所を守り続けていた隆史くんにいたっては「俺、こんなことをやりたかったんですよ!」と涙を見せるほど…もうなんていうか、めっちゃ心がアツくなったんです。
隆史くんが今回のプロジェクト用にまとめた文章の一部を紹介します。
イベントで感じた確かな手応えは…
『シンカイ』のことを好きな人たちが呼ぶ友だちは、
『シンカイ』を好きになり、この場所への愛着が積み上がっていく、ということ。
人から人へ
共有した新たな価値観で、営む
「家」ときどき「お店」、みんなが集まる「公園」
それが「シンカイ2.0」だと思う。
いろんな人の想いが地層みたいに積み重なった場所だからこそ、今までになかったお店を作ろう。そこから僕自身が『お店2.0』の標語を掲げて、じっくりとコンセプトを考えていきました。
『お店2.0』で目指すこと
『お店2.0』の考え方は、既存の小売業や利益の求め方から距離を取ることにあります。
もちろん利益が出るに越したことはありません。お金があれば、自ら作った場所に対しての先行投資ができるし、心に余裕も出るでしょう。
僕自身の例でいえば、株式会社Huuuuのメイン事業である「WEBメディアの企画・編集・運営」業務で売上を立てています。おかげさまで人並みに食えるようになりました。
ここをA軸とすれば、新しく始める予定のお店はB軸。
- A軸=これまで通り頑張って稼ぐ
- B軸=友だち経済を軸にして、未来に投資する
わかりやすく言えば、A軸の利益をB軸の事業に投資することですね。といっても小売業で雑貨やアパレルで利益を追い求めるのは超大変。生半可な覚悟では絶対やりきれません。
前提条件として
- 家賃光熱費が安い
- 場所自体が出来上がってる(少し内装はイジるかも)
- お店完成までにかかるリソースはDIY精神で持ち寄る
- 最低限の売上は、店長の人件費+固定費に設定する
- 仲間やファンが応援して、血の通った「場」を持続させる
こんなことを考えました。
ポイントは「店長の人件費+固定費」です。仮に最低限の売上設定を20万円としましょう。どうすればお金を集めることができるか?
店長の人件費+固定費を集める方法
大枠のイメージでまだ仮ですが、友だちや知人たちからのの月額課金システムでまかなえたらおもしろいなと考えています。
今風にいえば「共犯者」。ありていにいえば「ファン」。ローカル的にいえば「村人」です。金額に見合ったリターンを持続的に返していければベスト。みんながお店のオーナーや出店者になれるようなイメージです。
さらにローカルの新たな事例として、最新のWEBサービスも活用したい!
まだ仮ですが…
月額1000円プラン
- 村人パス発行(証明書的な)→全国どこでも同じ仲間としての証
- noteの有料マガジンを運営→日々の店舗の動きや売上、長野の情報などをテキストで届ける
- 無料でスペシャリティコーヒーを1杯提供→遊びに来たらタダでコーヒーが飲める
関係性として一番気軽なプランです。月に1回でもコーヒー飲みがてら、近況報告をしたり、友人同士を紹介したりなど、長野市で当たり前のやりとりに付加価値をつけられたらいいなーと。また、一緒にお店をやっているという関係性を作るため、有料のnoteマガジンを運営します。
毎週の売上や遊びに来た人の話、今後の展開など、小さなファンクラブ会報みたいなコンテンツが日々届くのって嬉しくないですか? 編集者として会報のクオリティは超頑張ります!
月額5000円プラン
- 長野市のスペシャリティコーヒー飲み放題!→遊びに来るたびに無料で飲めるようにします
- Wi-FI完備で仕事ができる→Huuuuの編集部機能も設けようと考えています
- 友人・知人は二階で泊まってもOK!→月に一回遊びに来て泊まれば長野市で遊べる!
- イベントスペースとしても使える→トークイベントやライブなど積極的にやる予定!
- イベントの参加費が無料になる→月に何回か開催するであろうイベント参加費が無料!行けば行くほどお得なやつ!
- 撮影場所としても使える→古民家改装のスペースなので写真映えするよ!
- 映像&ラジオ収録ブース→個人的に欲しいので機材諸々揃えたい
- お店のグッズや友だちの作品が貰える→OND WORK SHOPのきむにいに何か作ってもらう
- まだまだ企画中……
ここが肝になるかなと思います。より主体的に「お店2.0」計画に関わってくれる仲間たちに村人パスみたいなのを配布。コワーキングスペース 兼 たまにHuuuuの編集部的な位置づけでライター/編集者、カメラマン、デザイナーなどの交流場所になったら最高だし、使い方・アイデア次第でいくらでもおもしろいことができます。
そして会員証は、2月ローンチ予定のサービス「SPOTSALE」(イジゲン株式会社)の仕組みを導入予定。お店に付加価値を付けて、株式のように会員権を発行できて、会員優待を受けることができます。今回のお店2.0計画にぴったりすぎるサービス!
地元還元プラン
- 中学生・高校生・大学生・近所の爺ちゃん婆ちゃんは、長野市のスペシャリティコーヒー1杯無料!→いつ来ても、1日に1杯提供します
地域で分断されてしまったコミュニティをひとつの場所で繋げたい。「シンカイ」はそれができる環境があります。そこで学生、近所の爺ちゃん婆ちゃんがふらっと遊びに来れるようにスペシャリティコーヒーを無料て提供したい。
なんか、いいじゃないですか。
高校生が学校帰りに美味いコーヒーすすりながら、近所の婆ちゃんの漬物や和菓子とかつまみつつ、店長や他のお客さんとゆるく話してるのとか。だから前代未聞だとは思うんですが、月額プランで集めたお金を地域に還元できたらいいなーと考えています。
さらに・・・!
ローカルにおけるQRコード決済の広告モデル店舗
中国のQRコード決済が話題になってますが、日本ではなかなか普及が進んでいないようです。当初、お店の理想形として「お金の管理を極力減らし、性善説に基づいた店舗」を考えていました。
ローカルによくある野菜の無人販売はその最たる例といえるでしょう。いっそ現金扱いをなくしてQRコード決済のみにすれば、究極スタッフがいなくてもモノが買えるお店も成立するんじゃないの…? といった発想です。とはいえ人がいないお店はまったく魅力がない。だけど今後実現するであろう未来の仕組みは取り入れたい。
だったらお店自体をQRコード決済のローカルモデル店舗として「広告塔」になればいいんじゃないのか。
現状の壁としては「アプリを落とさないといけない」→「クレジットカード登録して連携しなければいけない」の二点があるように思いました。この手間を惜しまずさせるためには、労力以上の対価が必要です。
たとえばモデル店舗で使えば、商品が10%引きになるとか。僕だったら落として試す気がします。割引分の差分は、クライアントから売上額に応じて月額5万円、10万円、15万円といった広告費の中で補填する。この月額費がポイントになってきます。
長野のローカルで『お店2.0』を展開すれば、きっと地元メディアが興味を持ってくれるはずです。そこからさらに東京のメディアも食いついてくれるかもしれません。
ローカル×WEBの編集者を生業としているので、そこは自信があります。
さらに『商店街2.0』構想も考えています
インターネット時代のワークウェアを作りたい!既存のファッション業界の仕組みはとっくに崩壊してる!と名言連発なインタビューがあります。
話している髭モサモサのおじさんは、ALL YOURSの木村昌史さん。僕が編集長を務めているメディアの記事なんですが、取材同行はできずにいたものの、Twitterのやりとりですぐさま仲良くなりました。
わーまじすか!!めっちゃ案内して長野市のかっこいい男たち紹介します!! 直近だと2月17日(土)に男臭い宴会仕込んでるので、日帰りでもタイミングあえばぜひ!!
— 徳谷 柿次郎@Huuuu inc. (@kakijiro) 2018年1月31日
本気ですし、この日は最高です!! 4月に長野でお店やろうと思っているので、そこでも一緒に取り組めることがあればと考えてました!
— 徳谷 柿次郎@Huuuu inc. (@kakijiro) 2018年1月31日
この二日後くらいにALL YOURSのお店に行って、がっつり話してきました。木村さんとは同い年。そして『お店2.0』の考え方も超共感。
「僕もやろうと思っていました!さらに商店街2.0を考えていて…。普通の商店街ってもう維持が大変じゃないですか。いっそ同じ考え方のお店を仮想上の商店街みたいにして見せちゃえばよくないですか? 例えば、東京と長野で仮想の商店街連盟に加盟しちゃえばOKみたいな。新しいお店の形を目指しましょう!」
その場で次の展開まで決まりました。ALL YOURSのお店も4月目処に移転予定。ここでも小売業の常識にとらわれないようなやり方を考えてるみたいです。とりあえず東京→高崎(群馬)→長野の北陸新幹線上に商店街2.0を作りたい。こりゃ、やばい!
構想はともかく、実現にはみんなの応援パワーが必要です
- QRコード決済の広告モデル店舗の広告主(何社か交渉中!)
- 各月額プランに興味ある人(基本クチコミでやるしかない)
- この取り組み自体を取材したいメディア(全国初のモデルケースにする!)
などなど、4月の実現までにはいくつかハードルがあります。これから内装の壁塗ったり、駐車場見つけたり、商品考えたり、関わって欲しい人への説明があったり……。新しい旗を掲げたものの、想定以上の作業量に面食らってます。
でも、2017年4月7日(土)、8日(日)に「やってこ!マーケット02」の開催を控えているので、ここに向かって進めばなんとか形になるはず。あとはみんなの応援パワーがあれば助かる……!
各月額プラン、QRコード決済事業者など、興味があれば下記プロフィールのTwitterかFacebookかメールアドレスからご連絡ください。よろしくお願い申し上げます。
地方紙での購読率日本一「信濃毎日新聞」のU35特集に載りました。今年36歳だからギリギリ。早速長野県民からのリアクションがあってありがてぇ!地方紙の醍醐味!
書いた人:徳谷 柿次郎
株式会社Huuuu代表取締役。おじさん界代表。ジモコロ編集長として全国47都道府県を取材したり、ローカル領域で編集してます。趣味→ヒップホップ / 温泉 / カレー / コーヒー / 民俗学 / Twitter:@kakijiro / Facebook:kakijiro916 Mail:kakijiro(a)gmail.com